2018年12月、Trip.com(トリップドットコム)による架空の部屋販売(実際には空室の無い部屋を空有として高額で販売・空販売)がメディアで報道され、責任者が謝罪・公式サイトにも案内文を掲載するだけに留まらず、観光庁が日本法人事務所に立入検査をする事態にまで発展しています。

今回はこの問題の概要やその裏側にある経緯、もし自分が該当するかも?と思った時の対処法と、設置された専用の問合わせ窓口などの情報をご紹介いたします。

Trip.comで起きた架空の部屋販売の概要

今回の問題は、年末年始などの繁忙期を中心として既に満室となっている、またはそもそもTrip.comとの契約が無い旅館などの部屋を「空室あり」と表示して予約を受け付けていたもの。

その特徴として、以下の事柄が挙げられます。

  • 年末年始などの繁忙期を中心とした期間
  • 宿泊金額が通常よりもかなり高額に設定
  • 料金は「前払い・返金不可」
  • 多くのケースでは残り1室と表示
  • 主に日本国内の高級旅館

※一例であり上記に該当しない場合もあります。

ユーザーは予約時にカード情報を入力し、支払いを行うので予約が確定したと思い込んでしまいますが、実際には「預り金」として一時的に宿泊金額と同額を確保されているだけで、予約は確定しておらず「宿泊施設の確認待ち」という状態になります。

このまま一定期間が経過したり空室無しとなると予約が自動で取り消しになり全額返金されるのですが、キャンセルになった事を知らずにホテルへ行くと「部屋が無い!」と言った事態になり路頭に迷う事になります。

さらに深刻な場合、実際には部屋が確保されていないにも関わらず「部屋確保・予約確定」となって決済されてしまい、同様に現地で「部屋が無い!」と言った事態になるという問題です。

この場合サポートに連絡する事で近隣同価格帯のホテルを手配してくれたり、返金等の処置は一応してくれますが、そういう問題じゃない!というのが一般的でしょう。

なぜこのような事が起きたいのか

現時点では全容が公表されておらず不透明な部分もありますが、おおよそ下記のような理由です。

オンラインホテル予約サイトの仕組み

Trip.comに限らず多くのオンライン旅行予約サイトでは、掲載されている全ての宿泊施設・宿泊プランを自社で調達している訳では無く、契約する旅行代理店がサイト上で部屋を販売できるようになっています。

このTrip.comと契約している旅行会社の中に悪意を持った会社があれば、架空のプランをでっちあげてTrip.comを通じて実際には存在しない部屋の予約を受け付ける事ができてしまいます。

ただしこれについてはTrip.comに限った話ではなく、他の外資系ホテル予約サイトでも同じこと。

そして、一般の方からすればとんでもない事と思うかもしれませんが、一定のキャンセル客を見越してホテルの客室数以上の宿泊予約を取る事自体もそう珍しい事ではありません。

日本ではほぼ聞きませんが海外のホテルではオーバーブッキング(見込みが外れて客室数以上の客が来てしまった)により部屋が用意できなくて近隣ホテルへ振替になるという事は全く珍しくありません。

リクエストベースの予約の存在

今回の事件ではこの仕組みの存在もより悪用をしやすくしていた原因の一つになっていると思われますが、「リクエストベースの予約」という物が存在します。

これは予約申込があってから宿に空室があるかどうかを確認し、空室があれば予約確定。無ければ自動キャンセルになるという仕組みで、失礼ながらあまり発展していない国でまま見られる形態です。

(様々なホテル予約サイトにおいて「予約したのに部屋が無いと言われた!」という口コミが途上国のホテルに多いのはこの辺りも関係しているのではないでしょうか?)

日本国内の旅行会社でも日本国内の宿に対してリクエストベースの予約を行っている会社を実際に知っています。ただ事前に保証金は取らないのでそこらへんは少し違いますが。

架空の部屋を販売する事のメリット

ではなぜリスクを冒してまで架空の部屋を販売するのでしょうか。

実際に宿泊者がホテルに泊まる事ができなければ代理店に手数料が支払われる事も無く、一見無意味な行為にも見えますが、中には都合がつかず払戻不可を承知の上でキャンセルする客も一定数存在します。

その為「前払い・払戻不可」で販売する事によって旅行代理店は一定の確率でキャンセル料収入を得る事ができます。

1泊10万円で架空の部屋を100部屋販売し、10%がキャンセルしてくれれば100万円の利益。キャンセルされなかった部屋もオーバーブッキング扱いになり手数料が入らないだけ。と美味しい事だらけという状態になっていた可能性があります。

仕組み上できてしまうのは仕方ないので、不正をさせないよう、契約する旅行会社を十分に監査する事が必要不可欠ですが、Trip.comはこれが不十分で契約旅行会社に好き放題されてしまったというのが最大の理由のようです。

現状でTrip.comからは「契約している旅行会社による行為」と発表されており、それが真実であると仮定した場合です。

Trip.com本体が信用をかけてまで僅かな数の架空プラン販売を行う程のメリットはほぼ無いと思いますので、恐らく本当なんでしょうが、管理体制に問題があったという事実には変わりありません。

楽天も以前似たような事やっちゃってたので、今後のTrip.comの対応次第でサイト自体の信用度が左右されるのではないでしょうか。

Trip.comでホテル・旅館を予約した場合の確認方法

上で挙げた条件に当てはまる予約をTrip.comで行っていた場合は「予約完了」となっていても、念のために次の手順で確認する事をお勧めします。

(1) 宿泊施設に電話して確認

国内宿泊施設の場合は言葉の問題は無いと思いますので、実際に宿泊するホテル・旅館の電話番号へ直接連絡し、宿泊日と名前を申し出た上で正しく予約が入っているかを確認して貰ってください。

予約確認を行う行為自体は決して不自然な事では無いので、特にTrip.comの問題の事を説明する必要は無く、単に予約の確認をしたいとだけ伝えれば問題ありません。

宿泊金額に不審な点がある場合は金額についても念の為に確認してみるのも良いかもしれません。

予約をした直後の場合はまだ宿に予約情報が伝わっていない事もあります。2~3日かかる場合もあるようですが、予約が入っていない場合はその時点でまだ予約したルームタイプに空室があるのかを確認してみるのも一案です。

ここで正しく予約が入っていれば問題ありません。その後勝手にキャンセルされるような可能性は非常に低いと考えられますが、もし少しでも不安が残る場合は直近に再確認するか、Trip.comのサポートに相談してみても良いかもしれません。

(2) Trip.comのサポートへ連絡

この問題がメディアで報道され、実は当サイトでもTrip.com関係記事が結構なアクセスになっている事から、サポートへも繋がりにくい状態である事が想定されます。

もし宿泊施設へ連絡し予約が入っていない事が発覚した場合は、会員ページから下手に予約を操作せず速やかにTrip.comのサポートへ連絡し現状を把握するようにしましょう。

Trip.comで空販売被害に遭った場合、返金はされるのか

一番重要なのはこの部分ではないでしょうか。Trip.comの規約でも、また今回の発表でも「予約が確保できなかった場合や回答待ちのお客様が予約確定前に取り消しされた場合は全額返金」と明言しており、

・日本でも旅行業登録されている事

・Trip.comは売上高で世界第3位と非常に大規模で雲隠れや倒産などの可能性は非常に低い事

・観光庁などの行政機関も事態を把握し動いている事

・専用の窓口を設置し対応に当たっている事

これらを考慮して、部屋が確保されなかった場合は全額返金される物とひとまずは安心して問題ありません。

部屋が確保されなかった場合に限る

ここでちょっと面倒なのが、「部屋が確保されなかった場合」という事です。

もし万が一、実際には部屋が確保できていないにも関わらず「確定済み」にされてしまっていた場合は上記には当てはまりません。

会員ページでは「確定済み」になっているにも関わらず実際にホテルへ電話すると予約が入っていないという事が発覚した場合は、絶対に会員ページ上ではキャンセルボタンを押さず、速やかにサポートへ電話して状況を説明して下さい。

問題が表面化している状況なので、事実関係を確認後に返金となる可能性が非常に高いですが、慌てて他のホテルを手配する前にまずはTrip.comのサポートへ連絡するようにして下さい。

Trip.comの架空の部屋販売に対する専用問合わせ窓口

Trip.comの通常の問い合わせ先は関連ページにまとめておりますので、そちらをご参照ください。

今回の件について、つい先日開設されたばかりの東京・田町コールセンターに専用の問い合わせ先が設置されました。

電話窓口

【個人向け対応窓口】0120-925-780

ただしこのフリーダイヤルは、東京田町のコールセンターで対応するとされているものの夜間や混雑時は中国のコールセンターなどに転送し日本語対応を行うとの事なので、混雑時は…思い通りの成果が得られないかもしれません。

【宿泊施設向け対応窓口】対応時間、日本時間の9:30~22:00
03-6262-7341/03-6262-7343/03-6262-7345

メール窓口

「対応までに時間を要する可能性がある」との記載があるので、個人的には電話の方が良さそうな気もしますが、暫くは混乱や問い合わせの集中もあって全体的に時間がかかるかもしれません。

【個人向け】jp_customerservice@trip.com 

【宿泊施設向け】hongcai@trip.com

公的な相談窓口

Trip.comは外資系予約サイトとしては非常に珍しく、Trip.comを運営するCtripの日本法人であるCtrip Japanが日本旅行業協会(JATA)の正会員であり、東京都に第三種旅行業登録(東京都知事登録旅行業第3-7003号)もされています。

■Trip.com運営元であるCtripの日本法人 「株式会社Ctrip Japan」
https://www.jata-net.or.jp/kaiin/detail_kaiin.aspx?no=5584

■Trip.comにて航空券の手配を行う 「株式会社Ctrip Air Ticketing Japan」
https://www.jata-net.or.jp/kaiin/detail_kaiin.aspx?no=5858

■Trip.comにて宿泊施設の手配を行う 「株式会社Ctrip International Travel Japan」
https://www.jata-net.or.jp/kaiin/detail_kaiin.aspx?no=5806

現状、Trip.comが電話対応窓口を設置し対応に当たっており、返金にも応じているので問題ないと思いますが、もしTrip.comの対応に不安がある場合などは日本旅行業協会の消費者相談室へ相談して見ても良いかもしれません。

【追記】ただしこれにはやや闇の部分があり、空販売などで問題になった事件については中国に登記のあるCtrip.com international Ltdがサイトの運営、予約管理を行っており、日本に登記のあるCtrip Japanは関与していないという姿勢を貫いています

その為、観光庁を含めた日本の公的機関はこの件についてこれ以上踏み込む事ができないというのが現状です。

マリオットを利用した事がある方は併せて注意!

実はこのTrip.comの問題に隠れてかなり小さく扱われていますが、2018年11月30日マリオット・インターナショナルがクレジットカード情報を含む5億件の個人情報流出をやらかしています

対象は、2018年9月10日以前の予約で、マリオットおよびスターウッド(シェラトンなど)グループのゲスト予約データベース約5億件。

現状、公式では英語でしか詳細発表がされていませんが、詳細はこちら

https://www.tabiwaza.jp/wp-content/uploads/2018/12/5722a255d786a14ef1456a0f9d017766.jpghttps://www.tabiwaza.jp/wp-content/uploads/2018/12/5722a255d786a14ef1456a0f9d017766-150x150.jpg旅技宿泊・ホテルTrip.com,トラブル,トリップドットコム,不正,問い合わせ,問題,詐欺2018年12月、Trip.com(トリップドットコム)による架空の部屋販売(実際には空室の無い部屋を空有として高額で販売・空販売)がメディアで報道され、責任者が謝罪・公式サイトにも案内文を掲載するだけに留まらず、観光庁が日本法人事務所に立入検査をする事態にまで発展しています。 今回はこの問題の概要やその裏側にある経緯、もし自分が該当するかも?と思った時の対処法と、設置された専用の問合わせ窓口などの情報をご紹介いたします。 Trip.comで起きた架空の部屋販売の概要 今回の問題は、年末年始などの繁忙期を中心として既に満室となっている、またはそもそもTrip.comとの契約が無い旅館などの部屋を「空室あり」と表示して予約を受け付けていたもの。 その特徴として、以下の事柄が挙げられます...おトクなお出かけ情報
この記事を書いたのは
未來

人気の場所から治安の悪い国まで様々な国に渡航経験があり。多い時はホテルに月間15泊以上、海外野宿・ゲストハウス、民泊から一流ホテル、クルーズ船まで大概制覇。英語は全く得意じゃないけど何とかなっています。